爆弾低気圧の影響からか、名古屋で20センチを超える積雪があり、近接する高速道路でスリップ事故が多発、あちこちで通行止めになったニュースがあった。
東海道新幹線も積雪から90分遅れになっていた列車もあり、利用者の予定に影響を及ぼしたと想像するが、雪とは本当に恐ろしいもので、恐ろしい体験をしなければ理解出来ないかもしれない。
随分昔のことだったが、深夜から降り始めた雪が積もり、朝方には大阪市内でも10センチを超える積雪を記録したことがあった。
その日、午前中にお寺で行われる葬儀を担当しており、最悪の事態を考えてタイヤチェーンを装着してお寺へ行ったら、葬儀委員の人達やご親戚の方々から「用意がいいな」と言われたが、それが予想以上に正解だったことを体験することになった。
霊柩車やマイクロバスは山間部に行くこともあるところから冬用タイヤを装着していたが、ハイヤーはノーマルタイヤだし、火葬場に随行されること予定していたご親戚の3台の車もどうにもならず、私の車とマイクロバスだけが随行して火葬場に向けてご出棺した。
途中の混乱渋滞は大変な状況で、急ブレーキは踏めないし、発進時にも滑るところから大変。もちろん徐行運転が常識だし対向車とのすれ違いにも神経を遣い、いつもの3倍の時間を要して火葬場に入場することになった。
朝方にシャーベット状になっていた道路の雪は車の重さから固まってしまい、まるで氷のような状態に変化してつるつる。もしもタイヤチェーンがなかったら走行不可能だったと思えるレベルだった。
お寺様と喪主様、それに葬儀委員長さんが同乗されていたが、帰路の車内でタイヤチェーンを装着していたことに対して「どこかで購入して来たの?」と質問されたのでいつも最悪の想定を考えていまして」なんて答えたことを記憶している。
それは、偶然からそうなった経緯があった。タイヤショップを経営している友人がおり、その20日ほど前にタイヤ交換をした際に「このサイズのタイヤに合うチェーンはガソリンスタンドで販売されていない」と言われ、取り寄せて貰って数日前に届いた物をトランクに入れていたという偶然の幸運だった。
それから大阪市内でタイヤチェーンを装着する積雪はもう一回あったが、チェーンの装着の仕方を説明書を読んで覚えていたことも役立ったことになった訳である。
そんなチェーンだが、中国道を走行中に大変な大雪に遭遇してトンネルを出たところにあった少し広くなった路肩で装着したが、その体験でくつか感じることがあり、その後はタイヤチェーンより冬用タイヤを選択することになった。
装着して走り始めてから「何かを忘れている感じ」が気になっていたのだが、10分ほど経ってから思い出したのがホイルキャップを外さずにそのままの状態で装着してしまったこと。次のパーキングエリアに入って確認したら傷だらけになっていた。
厳しい冷え込みの中、路肩で装着する作業。そこには追突事故に巻き込まれる危険性も高いし、手の冷たさと手袋の汚れは半端じゃない。また、装着している横を冬用タイヤを装着した大型バスやトラックが普通の状態で走り抜けて行くし、タイヤチェーンを装着しての走行は時速40キロ以上は危険なので避けなければならない。そしてトンネル内に入ったら積雪がないのでその衝撃と振動が大変だ。
もう積雪の心配がないと外して走行したら、1時間ほど走行するとまた大雪が降り出して真っ白になって再度装着した出来事もあった。タイヤには命を預けるという言葉もあるが、他の車を巻き込むことだけはないように気を付けたいものである。