温泉博士と呼ばれる友人がいる。彼は自分のブログの中で実際に行った温泉の写真などを掲載しており、その数だけでも驚く内容である。
そんな彼から教えて貰ったのが温泉に関する情報で、<そうなんだ!>と学ぶことになった。
それによると女性に歓迎されるだろう三大美肌温泉として「佐賀県 嬉野」「島根 斐乃上」「栃木 喜連川」があり、ラドンの含有する日本一の温泉は鳥取県の三朝温泉だそうだ。
また、我が国の温泉の中で最も高温な湯を湧出しているのは長崎県の小浜温泉で、その温度にびっくり、何と105度というのだから沸騰以上となっている。
全国で温泉地が多いのは「北海道」「長野」「青森」「新潟」「福島」「秋田」「静岡」の順だそうだが、それを知って以外だった。
齢を重ねると温泉旅行に出掛けることも多いが、それぞれの温泉には様々な効能が表示されているが、温泉名人の話によると「今、温泉に来ている」というリラックス感が最も精神的によいことだそうで、湯の効能よりそちらの方が強いそうである。
ちょっと興味を抱いて調べてみたら、三大美人の湯は「群馬 川中」「島根 湯の川」「和歌山 龍神」で、三名泉は「兵庫 有馬」「岐阜 下呂」「長野 草津」、また三古泉は「兵庫 有馬」「和歌山 白浜」「愛媛 道後」となっていた。
過去に三重県の榊原温泉に立ち寄った時、「清少納言」という旅館を利用して興味を抱いたが、調べてみたら枕草子に三大名泉として「兵庫 有馬」「三重 榊原」「島根 玉造」となっており、「長野県 別所」「和歌山県 湯の峰」という説も出ていた。
三大温泉地として「大分 別府」「和歌山 白浜」「静岡 熱海」と紹介されていたが、これまでの人生で行ったことのある温泉を思い出しながら彼と楽しいひとときを過ごした。
随分昔から「温泉の素」や「湯の花」などが販売されているが、全国各地の温泉の名前を冠した入浴剤も存在しており、銭湯が休日の日は自宅の風呂で楽しんでいるが、やはり白っぽい物や青い色になるものを選択してしまい、慣れて来ると「香り」を優先させることになっている。
温泉の話題の中に面白いHPがあった。九州のある温泉地の旅館だが、温泉が枯渇しそうな状態になって困っていたら、夢の中で畑を掘れというお告げがあったそうで、信じられないがやってみようと掘削したらびっくりする湯量の温泉が湧き出たというもので、その夢を観た先代女将の名前を称した施設も残されているそうだ。
葬儀という仕事の中でご家族から故人のお心残りを伺うと「もう一度温泉に行きたかった」と病室で語っておられた話も多かったし、晩節は温泉巡りが楽しみだったというお話も少なくなかった。
我が日本人は温泉が大好きだし、銭湯という文化も大切にしたいものである。
今号の結びに上述した「榊原温泉」のことで面白い体験談があるので紹介しておこう。
九州の友人夫妻が来阪、一緒に伊勢神宮に参拝して帰阪する時の近鉄特急の車内だった。宇治山田駅から乗車、向かい同士に座って話し合っていたら、中川駅を発車してすぐに検札がやって来た。そこで通路を挟んだ反対側の席にいたお婆ちゃんの切符確認した車掌さんが次のように言った。
「お客様、これはもう1本後の上本町行き特急の指定席で、この難波行き特急は榊原温泉駅には停車しないのです」
お婆ちゃんは固まってしまった。車掌さんのアドバイスで「伊賀神戸駅」から戻ることしかないことが判明したが、ちょっと恥ずかしかったみたいで我々に語り掛けて来られた。
「私ね、榊原温泉に住んでいるの。娘が駅まで迎えに来てくれるのだけど停車しないなんて知らなかったわ」
そこで「清少納言」という旅館を利用したことがあると言うと「そこ、私の親戚なの」と言われてびっくりした。
電車はやがて榊原温泉駅を通過。お婆ちゃんは悲しげに駅のホームを見ておられた。