テレビ番組で「池上彰氏」の監修解説で「宗教法人」について特集。靖国問題についても採り上げられていた。
歴史的に参拝した総理大臣の逸話などを交え、憲法で定める「政教分離」問題に抵触しないかという部分にも触れ、外国から「戦争神社」と呼称されている靖国神社の複雑な現実を改めて知るところとなったが、式年遷宮が話題となっている過日の「遷御」の儀に安倍総理をはじめ多くの閣僚が参拝したことがどうなるのだろうかという疑問もあり、批判が出ているのも事実だが、憲法制定よりはるか昔から存続している伊勢神宮の特殊性に異を唱える人は少ないと考えるし、そこに日本の文化があるような気がする人達も多いようである。
式年遷宮を迎えるまでに行われていた様々な神事にはびっくりで、長野県から運び込まれたヒノキの裏話や五十鈴川を遡る「白石」の隊列などは想像以上の大イベント。今回に初めて知られて驚かれた人も多いと想像するが、日本の歴史とは神仏抜きでは考えられない世界があることを改めて認識した思いである。
かつて民主党の政権だった時、2010年の年始に赤松農林大臣が伊勢神宮に参拝せず、野党の議員から国会で追及された際に家族で外国旅行に行っていたと答弁した出来事も有名である。
五穀豊穣の対象となっている「外宮」は、農林水産大臣が参拝するのが慣例となっていたが、赤松大臣がその慣例を打破されたことで大きな波紋を呼ぶことになった訳である。
歴代の総理が靖国に参拝すると中国や韓国から大変な抗議が生じるのは知られているが、特に終戦の日である8月15日に参拝するとエスカレートすることになり、小泉総理が就任されて6年目にその日の参拝をされたら、中国で大規模な抗議活動が発生し、日本人が経営する店舗などの多くが被害に遭った出来事も発生しており、私の知人も大きな被害に遭い、撤退を余儀なくされて嘆いていた。
戦没者に「戦争はいたしません」と誓いに参拝するのですと言ったらどうなるのだろうか。「我が国の現在は犠牲者の皆さんを忘れることは出来ません。総理として慰霊に行くのは政治家として当然です」と言えば抵抗が生まれて当たり前かもしれない。
中国や韓国の人達の心の中にある思いは我々日本人には計り知れない世界があるのだろうが、参拝から外交的に揉め事に発展することは残念なこと。
神社には昔から「絵馬」の存在がある。それは人間の弱い志を神に誓って貫こうという行動を表現したもの。それだけ人間が弱いという証しと言えるが、「禁煙」「禁酒」「ギャンブル」などの文字を目にすると、人間社会の織りなす模様が見えるような気がする。
「池上彰氏」の解説で伊勢神宮の境内まで撮影されていたが、そんな中で思い出したのがアメリカの著名な建築家の言葉。「日本の伊勢には、世界で最も古くて新しい建築様式が見られる」という言葉だった。