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お通夜から  NO 3430

 我が大阪は幸いにも大型台風の影響は少なかったが、伊豆大島では50年に一度というぐらいの記録的な大雨で、1時間に122ミリというのもびっくりだが、24時間の総雨量が800ミリを超えたというニュースに驚いた。

 多くの犠牲者が出てしまったようでお気の毒だが、私の立場では手を合わせるしか出来ず、なぜ気象庁が「特別警報」を発令しなかったのだろうかと疑問を覚えた。

 夜に昨日の号で触れた故人のお通夜に参列。式場は溢れるほどの弔問者。それは故人の人徳を物語るものだが、皆さんの最後に焼香を手向けさせていただいた。

 他府県からご来臨のお寺様がご導師、懇ろなご読経に続いて20分ほどご法話。通夜の重要性と「浄土」という言葉が「清らかな土」と説かれていた。

 お寺様が退出された後、息子さんがご挨拶。喪主は奥様が務めておられるが、息子さんが謝辞を担当されたことは何よりと感じた。

 ロビーに降りると奥様や息子さん達が並ばれている。わざわざご丁寧にお言葉を頂戴して恐縮。明日の葬儀で「お別れの言葉」を奉呈申し上げることになった。

 これまでに全国から多くの葬儀関係者や司会者が来社、その度に様々な指導をして来た歴史があるが、葬儀の司会は採点可能でも、礼節と音響は「100点」か「0点」しかないと教えていた。その意味が分かれば葬儀という仕事がプロの「域」が求められることが理解出来る。

 式場空間を歩くにしても、履物の音が申し訳ない雰囲気がなければならないし、椅子を動かす際の音、扉を開けたり閉めたりする際の仕種など、参列者の視線や聴覚がスタッフの動きに注視していることを知ることが基本的なこと。

 お寺様はご法話をされることが多いが、マイクを使いこなせる方が少ないのも事実。自分の声がどの程度聞こえているかを日頃から神経を遣われるとご理解される筈だ。

 我々の立場は、そんなお寺様のお声が皆さんにはっきりと伝わるようにセッティングする責務もある。司会とは耳が発達して初めてプロの世界の入り口に立てる。

 スピーカーの環境に神経を遣うのがスタッフのチームワーク。インカムでそんなやりとりが出来なければまだまだと指摘される。

 昔、ある広い式場に到着したら、担当責任者が「全て完了です」と報告を受けたが、すぐに叱責したことがあった。それは流れている音楽が片方のスピーカーからしかながれていなかったから。その式場には10人以上のスタッフがいながら、誰も気付かなかったので怒ったのである。

「申し訳ございません。配線が抜けておりました」ということで原因が判明したが、式場に入った瞬間にそれを指摘したことに驚いていた。

 一般的な音響は、「低音」「中音」「高音」の調整ぐらいは可能な筈だが、この調整ぐらいは出来なくては駄目。人によって声質が異なり、自分のことをしっかりと知っておかなければプロではないし、イコライザーの微調整まで神経を遣うようになれば嬉しい成長だと思っている。