広島でポプラの木が突然倒れて下敷きになった人達に被害が発生というニュースがあった。根の部分が腐食していたことも原因のようだが、過日の大きな地震が遠因になっていたことも考えられる。
この世は何時何処で災難に遭遇するかは分からないが、車が意図的に歩道に突っ込んだり通り魔的な犯罪が増加しているので危険率が高まっているようだ。
過日のバス事故みたいに運転している最中に心疾患や脳疾患になったら大変だし、高速道路を逆走するケースも増えているので恐ろしいことである。
最近は全国の鉄道で毎日のように人身事故が発生しているし、心の風邪という病が増えていることも現実である。
これまでに事故や事件の被害者の葬儀を担当したことも少なくないが、式場での弔問者や会葬者に漂う環境は言葉では表現できない世界があり、高齢者が送られる葬送とは全く異なる空気が流れているので大変である。
そんな体験をしているプロ達が集うのが「日本トータライフ協会」だが、飲酒運転や「いじめ問題」の撲滅を目的に啓蒙活動も行っており、「命の教育」や「あの世の教育」の重要性を社会に訴えている。
昔、そんなメンバーだけがやりとりするイントラネッツというページがあったが、悲しみの強い葬儀の担当者が、事故の被害者のケースで「体験したくない」という書き込みを何度も目にしたことがあった。
前にも書いたことがあるが、ある女性司会者の方から苦悩を訴えるメールが届いたことがあった。発信されていたのは昼過ぎのことだったが気付いたのは夕方のこと。内容を読んでお通夜に間に合うようにと考えて返信したが、その心情は誰にも生まれて当たり前のことだが、中には誤解をしている司会者もあり、アドバイスをしたためて対応することになった。
「教えていただきたいことがあります。今夜、私は悲しいお通夜を担当します。亡くなられたのは幼稚園に通う女の子で、交通事故に遭ったそうです。どうしても泣いてしまいそうで先輩に相談したら、『泣いたり涙を流すような司会者はプロではない』と言われたのですが、どうしたらよいのでしょうか」
「泣きなさい。涙を流して司会を務めなさい。それが心ある司会者のあるべき姿です。淡々と進めるのは機械でないと無理な話で、あなたが涙を流すことも供養につながると信じます。涙の成分は真っ赤な血液だそうです。血液が透明になって流れ出るまでのプロセスが需要で、それが心身の悲しみを少し和らげるとも言われています。ただ、開式前に『今日の司会を担当しますが、私も司会者である前に一人の人間であり悲しい思いに包まれております。途中で言葉にならなくなったり取り乱すことがあるかもしれませんが、その時は何卒ご海容くださいますよう』とお断りしてから始めるべきだと思います」
そして、その日の夜遅く、次のようなメールが送られて来た。
「アドバイス有り難うございました。本当に辛くて悲しくて大変なお通夜となり、二度と体験したくない思いでした。祭壇のかわいい遺影を目にすることも辛くて堪りませんでしたし、悲しみに暮れられるご両親のお姿を見ると逃げ出したくなる思いでしたが、アドバイスをいただいたことで私が担当しなければという思いも少し生まれました。開式前にお断りの言葉を伝えて始めましたが、お父様の謝辞のフォローの際にどうにもならない状況となってしまいました。でも、開式前のお断りを皆さんがご理解くださったようで、お母様から『あなたのような人に司会をして貰ったことが救いになりました』とお言葉がいただけました。明日のお葬式は辛いけれどもお断りから始めて懸命に努めようと思っています。有り難うございました」