昔から「囲碁」に興味があり、月刊誌を山ほど積み上げていたこともあって妻に閉口された歴史もあるが、実力の方は頭がよくないのでからっきし駄目。「ヘボ碁ダメなし」という格言そのままのレベルで、知らない人と対戦するのも恥ずかしいので避けて来ていた。
好きなのは各新聞が掲載しているプロの対戦の記事、棋聖戦、本因坊戦、名人戦、十段戦など様々あるが、その日の新聞から次の一手を考えてみるのが楽しみで、これが現在の日課の一つとなっている。
プロというのはやはり凄い。レベルが違うと言ってしまえばそれまでだが、解説者の分析などを読むことも興味深く、その奥行きの深さには驚くばかりだが、過日の新聞の解説者の言葉に「定石も時代と共に変化している」という指摘があり、それが果たして進化なのだろうかと興味を覚えた。
最近の囲碁の世界で話題になったのはプロ棋士と人工知能との対戦だが、プロ棋士が想定外の手を打って1勝しただけで後は全て負けていた。
パソコンの中に盤面が登場して対戦出来る世界があるが、数目のハンデでやってもどうにもならず、これでは心臓に悪いといつも退散してしまう。
囲碁について忘れられない逸話があるので紹介しよう。これは随分と昔に「独り言」の中で触れたことがあるが、ここにプロとアマの違いが感じられる筈なので触れさせていただく。
一つは私に「経営者は囲碁を知って置くべきだ」と手ほどきくださった税理士の先生の話だが、先生が大学時代の友人と囲碁クラブで対戦していたら、それを見物されていた人物が「よい碁を打たれますね」と言われて先生の友人と対戦することになった。
結果は熱戦の上、友人の「1目」負けとなり、次に先生が対戦したらこれも大接戦となりまた「1目」負けとなって「偶然ですね」と言ってその人物が帰られた。
最初は「惜しかったなあ」と会話を交わしていたお二人だが、途中で何かおかしいと疑問を抱き、「2人共1目負けということがあるだろうか。そんな偶然が?」なんてことから碁会所の店主に確認されたら、「あの人はプロの8段で**さんだよ」と言われて衝撃を受けたという出来事だった。
もう一つは私の好きな偉大な棋士であった「藤沢秀行師」の話題である。関西棋院の他に名張棋院が開かれることになり、オープン記念のイベントに「藤沢師」が招待され、一度に多くの人達と対戦をする「十面打ち」みたいなことをされたそうだが、ひとりの幼い弟子を伴っておられ、アマだが名張棋院のかなりの高段者がその弟子さんと対戦することになった。
その弟子さんというのは小学6年生だったと記憶しているが、盤の横に棋院の役員さん達
この対戦の前に「藤原師」は「この弟子にはまだ合わせる碁を教えておりません。勝負の
碁しか教えておりませんからご理解を」と説明があったのだが、その子は相手が打つと瞬時に打ち、お菓子やミカンを食べながらお付き合いをしていたらしいが、対戦結果は見事に小学生の勝利。会場におられた人達がプロの世界の凄さを実感した出来事として語り継がれている。
今日の結びに「独り言」のページのリンクを。開けられて左枠外の下にある列車のボタンで「幸せ列車」にリンクされていますが、日々更新の「短編小説 女将シリーズ」はそちらにあります。
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