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出逢いから  NO 3283

 日本を代表するホテルに長年勤務していた友人がいる。彼とあちこちのホテルで食事をするとびっくりすることばかりだった。

 ある時はホテルの社長が登場されて食事を共にすることになったが、そのホテルのレストランは著名なシェフが存在し、我々のテーブルの横に来てわざわざ火を使った料理を提供してくれたこともあった。

 和食、洋食の両方にも広い交友関係あり、どこでも入店するだけで総料理長が挨拶に来られるのだから驚きだが、信じられない割引価格だったことにも驚かされた。

 あるホテルでの出来事だが、鉄板コーナーに座ると、彼が「知らせるな」と言うのに「私が叱られます」と言ったスタッフが総料理長に連絡、やがて姿を見せられてからの行動にびっくりすることになった。

 二人が注文したのは魚料理とステーキだったが、大きな肉の塊を持ち出され、「信じられないぐらい大きさに切ってくれたからである。

 他にもお客さんがいたからだろうが、総料理長が「ちょっと手が滑って大きく切ってしまった」と笑いながら言われたのが面白く、彼との深い交友を改めて知ることになった。

 そんな彼に依頼したことがあった。それは弊社がお寺や地域の会館で行われる葬儀の際の接待設備に関するチェックで、実際に現場で確認して貰うというものだった。

 すぐに指摘されたのはお茶を運ぶ「お盆」のこと。湯呑が滑らない加工がされたものを選択するべきということと、誤って落としても大きな音がしない材質まで考えるべきというものだった。

 指摘されてから2日後、彼から紹介されたという人物が来社された。「これをご参考に」とプレゼントしてくれたのはホテル業界で不可欠な備品の商品ブック。7センチぐらいの厚さがあり、きめ細かい分野にまで様々な商品が存在することを知った。

 そのパンフレットを参考に様々な備品を購入したが、接待担当の女性スタッフ達が「信じられない」と驚いていた表情は今でも忘れられない思い出である。

 彼がホテル業界から引退されるパーティーにも招待されたが、スピーチを懇願されたことは遠慮した。

 その後、彼が趣味という「銭湯巡り」で偶然に弊社の近くの銭湯で会ったが、その際に弊社の西館に隣接するコインパーキングを利用していたことを知った。

 互いが同年代、彼の健康を心から祈念する。