友人の義父がゴルフに傾倒され、週に一度は「行こう」と誘いの電話があるそうだ。
78歳から始められたのでもう10年、現在88歳なのである。始められる前、ゴルフのテレビ中継で「女性にあんな重たい物を担がせて何を考えておる」とか「狭い日本で広い芝生の土地を占有するとは納得出来ん」とぼやかれていた御仁だが、今ではそんなことをお忘れのように一転、石川選手や松山選手の話題が会話の中に出て来るのだから驚きだ。
伺ってみると、膝を痛めておられるそうだが、それに耐えてプレーをされるとは凄いこと。それだけゴルフに魅入られていることにもなるだろうが、共にご苦労をされたご伴侶に先立たれた空虚な部分を少しでも埋められることになれば結構なこと。お浄土から奥様も温かく見守っておられることだろうと拝察申し上げる。
過去にゴルフが生き甲斐という人生を過ごされていた方の葬儀を担当し、満中陰が済んでから追悼コンペのご案内をご家族から頂戴して恐縮したことがあった。私がナレーションの創作のために伺った会話の中にもゴルフに関する話題が多く、故人と何度かラウンドしたこともあったので参加させていただいたが、会食時の司会まで担当することになり、そこで追悼ナレーションを入れて献杯に進めたら、皆さんがお偲び申し上げながら喜んでくださった。
かつて、交流のあった人物が「100までゴルフをやろうかい」という組織を立ち上げられて活動していたことがあった。特別メンバーとして有名な「杉原輝夫プロ」も発起人として存在されていたが、氏がご逝去され、しばらくした頃にご本人も亡くなられ、今ではどうなっているのだろうかと心配している。
その人物は、いつも運転手付きの専用車でゴルフ場に来られており、それを見られた人達から「どういう方?」と話題が広がったが、その方の肩書を知る私が説明すると皆さんが納得されていた。
メモリアルコーナーにゴルフに関する物がセッティングされることも多く、クラブ、帽子、スコアカードなどから、収集されていたゴルフ場のマークを見事なほどケースに並べられていた方もおられてびっくりしたことがあった。
その方の人生の一部を紹介させていただく場には趣味という世界は外せないが、最近の傾向に増えて来たのがカラオケで録音されたご本人の歌声。出来たらお通夜や葬儀の場にマッチするような選曲をと願ってしまうこの頃である。