心配していた台風だが、予想していたコースより東側を進むみたいで直撃を免れたようで安堵。これで明日のお葬式やお通夜が問題なく進められることになった。
残るは関東や東北での欠航や運休だが、伊豆大島の再度の災害だけはないように手を合わせている。
台風とは本当に厄介な問題である。それで大切な方の大切な儀式に参列出来なくなれば後悔が生じる。そんな出来事をこれまでにどれほど多く体験したかも私の歴史である。
自然の猛威は時には想像もしなかった事件を巻き起こす。30数年前のことだが、お通夜が終わってからゲリラ豪雨みたいな大雨が降り、午後11時過ぎに喪主様から「大変なのです」と電話があった。
ご自宅で行われていたものだったが、ご当家があるのは幹線道路から随分と低くなっている場所。そんなところから過去にも床下浸水があったことは知っていたが、まさか床上浸水まで及ぶとは驚きで、冠水した横道をジャブジャブあるいてご当家へ着いたら、祭壇のすぐ下まで水が達しており、平屋だったのでご遺族や親戚の方々が膝上まで水に浸かって立っておられた。
やがて小降りになり、日付が変わってからしばらくすると水が引き始めたホッとしたが、皆さんを落ち着かせるために申し上げたことは最悪の場合には朝から全てを設営し直すということで、幸いにも祭壇は被害を免れたが、濡れてしまった幕は全て張り替え、畳の上にビニールシートを敷き、その上に真っ白な木綿生地を張り詰めて葬儀を進めたのが懐かしい。
深夜に降った雪が積もって大変な苦労があったことも何度かある。10センチ以上の積雪があると我が大阪はパニック状態に陥ってしまう。霊柩車やマイクロバスも走れないし、タイヤチェーンを装着しても、渋滞状況が半端じゃなく、ご親戚の方々が遅れて到着されるだけではなく、導師を務められるお寺様が到着されないので焦ったことも何度かあった。
ご逝去とは日や時間に関係なく訪れるもの。年末もあればお正月もある。最近では仕出し料理店の休業が少ないが、昔は大変な時期なのでご親戚の方々が「お節料理」を持ち寄って「御斎」を進められたこともあった。
「お節」が出たところで触れておくが、阪急阪神ホテルズグループの食材問題の発覚に関し、西武百貨店やそごう百貨店で問題が生じたホテルの対応する「お節料理」の受付を中止したニュースもあった。
信用を失うことは簡単だが、信用を築き上げるのは大変である。一度失ったことは「ゼロ」ではなく、「マイナス」からの再出発となってしまう。だから企業は法に抵触することやお客様を裏切ることはしてはいけないのである。